「はっ……!」
「気がついたようね」
どうやら优那が気付けをしてくれていたようだ。
総太郎は一瞬で、先ほどのことを思い出す。
「……俺の、负けか……」
「そうね。今回は私の胜ち」
优那は立ち上がり、わざわざ総太郎の正面に立って胜ち夸った笑みを见せてくる。
じわりと、総太郎の胸に悔しさが染みてくる。あとほんの少し、ダメージを负った足を崩さずに踏ん张らせることができていれば、胜つことはできていたはずなのだ。
総太郎は畳に両手を付いて、激しい悔しさに震える。
「う、くっ、くそっ……! 俺は、なんであのギリギリのところで根性を出すことができなかったんだ。おまけに、绞め落とされながら射精までしちまって……」
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ライバルと认め合う相手との胜负であること。そして、ギリギリのところで诘めの甘さで负けてしまったことが、総太郎の悔しさを増幅する。惨败したときなどとはまた违った悔しさがあった。
「悔しそうね。ふふ、胜つことができて感无量だわ、最后には破られたとはいえ沙织に教わった技も机能はしていたし、さすがに総太郎といえど、さらに鉄壁になった今の私を破るのは难しかったようね」
「ぐううっ……!」
ウィンクしながら胜利の満足感に浸る优那を、総太郎はただ悔しさにまみれながら见上げることしかできない。
が、优那はそこでふいに小さく息をつくと、笑みに柔らかな色を浮かべる。
「とはいえ、総太郎もたいしたものだわ。今の私にここまで食い下がれたこと、褒めてあげる」
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「え……」
意外にも、优那は総太郎を认めてくれるようだった。
「私はこの胜负、圧倒的な内容で胜てるものと思っていたのよ。それが、あと一歩で逆転负けを喫するかというところまで追い込まれた。あのとき総太郎の脚が崩れなければ、トドメをさされていたのは私の方だったわ」
たしかにそうであろう。総太郎自身、うまく动けたという手応えはあったし、この胜负を通じてひとつ山を乗り越えたような感覚があった。それがなければ一方的に负けていた可能性が高い。
だが、総太郎はそれを慰めとするつもりにはなれなかった。
「……でも、脚が崩れたのは优那先辈のローキックを食らっていたからです。この胜负の结末は、やはり必然なのだと思います」
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