(これだ、冴华とやったときのステップだ。この感覚に身を任せていけば、いける!)
あのときと违って无我梦中ではない。しっかりと自覚をして体を动かしている。
今までにない集中力が自分を突き动かすのが分かる。総太郎は自分で自分の动きに惊きつつも、ただひたすら优那の隙を狙い、それを见极める意识を崩さない。
「せいやああぁっ!」
优那が気合を放ち、浑身の力で上段回し蹴りを放ってくる。総太郎は、この后こそが好机だと直感する。
(优那先辈のこれは、确か……夏休み前に见せたやつか!)
优那は回し蹴りを缲り出しながらも、膝はわずかに曲げたままだった。そして、総太郎の顔のすぐ目の前を脚が通り抜けようというタイミングで、顔面に向かっての突き蹴りへと変化する!
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(やはり!)
ブラジリアンキックの応用技。顔面への突き蹴りは相手の平衡感覚を失わせるためのもので、これを喰らえば大きな隙を晒し、本命の蹴りでトドメをさされてしまう。
総太郎はしかし、头を下げてそれをかわした。かなりギリギリのところであったが――
「くっ!」
优那の表情から一切の余裕が消える。これで逆に、优那が大きな隙を晒したことになる。
総太郎は素早く飞び込み、优那の懐に入ることに成功する。密着距离だ。
「よしっ!」
総太郎はそのまま肩をぶつける。これならば投げを食らうことはない。体当たりされて优那は顔をしかめる。
「きゃっ! こ、このっ……!」
が、その瞬间、蹴り足を素早く戻していた优那も反撃をしていた。
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ビシッ!
「ぐっ!」
鋭いローキックが総太郎のふくらはぎを打った。よりによって、先ほど打たれたのと同じ场所である。
(倒れるなっ、今倒れたら二度とチャンスは来ないかもしれない!)
ローキックを食らっても、総太郎は踏ん张って耐える。
そのまま、総太郎は右の钩突きで优那の脇腹を打ちに行く。
「くっ、甘いわよっ!」
ガシッ……!
総太郎の突きを、优那はヒジでガードした。
(当たった!)
ガードはされたが、この日、総太郎の突きが初めて优那の体に触れた。
(このままたたみかけるんだ! これは千载一遇の好机、逃せば流れが変わっちまう!)
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