いつのまに、と総太郎は思う。今までは準备动作を取り、远距离から正しいフォームで飞び込みながら打たなければ威力を出すことができなかったというのに。
ここにきて、刹涡冲が正しく自分の体に染み付いたのだと実感する。今まで、稽古でも実戦でも几度となく刹涡の技を缲り出し、当たったこともあれば破られたこともあったが、ひたすら打ってきたことは无駄ではなかったのであろう。
(よしっ! ようやく、刹涡冲は本当の意味で俺の技になったんだ!)
刹涡冲の冲撃をまともに受けて背中を打ち付けた优那は、顔をしかめて震えており、すぐには体势を立て直すことができそうもない。
総太郎はそのまま、流れるように次の技に移行する。ここから拳を戻しながらの后ろ回し蹴りへの连係。総太郎はそれをトドメにしようと考えていた。
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だが。
がくん――
「ううっ!」
左足が、突然膝から崩れる。
先ほど二度にわたってローキックで打たれたところだ。今になってダメージに耐えられなくなり、痉挛を起こしている。
轴足が崩れたことで、総太郎は后ろ回し蹴りに移行できなくなる。その一瞬の犹予は优那が立ち直るのには充分であり、いまだ表情は苦しげでありながらも反撃の蹴りを缲り出そうとしているのが分かる。
(ま……まだチャンスなんだ、まだっ……)
総太郎は崩れそうになる膝に力を入れ、意地で踏ん张って耐える。
ちょうど沈み込むような体势になっている。総太郎はここから、右足を轴にして上に打ち抜く蹴り――燕撃斧を缲り出した。
「うっ……うおおおおぉっ!」
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「やあああぁぁっ!」
そして、甲高い挂け声とともに优那は右のハイキックを放ってきていた。
それが优那の起死回生の蹴りであることは分かっていた。最后は必ずハイキックで来る。华丽に决めることが优那の美学であることを、総太郎は理解しているのだ。
奇しくも、二人のハイキックが交错することとなった。それはほとんど同じタイミングで缲り出される。
そして――
ガシイイイィィッ……!
「ぐあっ……!」
优那の美しい脚がムチのような鋭さで绮丽に伸び、総太郎の头部に直撃――
そして、総太郎の蹴りは届くことはなかった。
「あ……ぐ……」
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