「楽しみですね……新しく得た技ごと、あのときのように叩き溃してやります」
「言うじゃない。ふふっ、先辈に対しての乱暴な言叶遣い、これは矫正してあげないといけないわね」
笑みを交わし合う二人。
そして、畳の上で――胜负は静かに始まった。
「いくわよ。今日は道具を使わないけれど、あの日よりも私は格段に腕を上げているから、舐めてかからないことをお勧めするわ」
あの日とは、総太郎が优那を下して生徒会に胜利した九月末の胜负のことであろう。思えば、レオタード姿の优那とやり合うのはあれ以来になる。
优那は両足を前后にした半身の姿势で、両手は力を抜いて垂らしたような姿势で构えている。堂々と胸を张った彼女らしい构えだが、以前よりも凉川沙织の武术の匂いが浓くなっているように総太郎には感じられ、自然と警戒感が涌いた。
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(生半可なことじゃ胜てないだろうな。気を引き缔めてかからないと)
构図としては、先のかえでとの胜负とは逆になる。総太郎のほうが优那のリーチをかいくぐっていかねばならない。
(优那先辈の弱点は分かっているが、その対策をしてきている可能性は充分あるし、新しい技もあるようだ。警戒しないと……)
お互い、缲り出すのは纯粋な格闘攻撃だけとは限らない。総太郎はセクハラ攻撃、优那は色仕挂け、と别の武器もある。駆け引きで上回らなければ优位に胜负を进めることはできまい。
それに、この畳敷きの道场の上ならば优那は自らの强みをフルに活用できる。こういう状况では、総太郎は优那にはいつも苦戦させられている。
(とにかく、これは大事な胜负だ。これから俺が神仓流に立ち向かっていけるか、その试金石になる)
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この胜负で一方的に完败するようなことがあれば、望みはないであろうと思うのだ。
「ふっ!」
まずは优那が踏み込み、中段の蹴りを放ってくる。腰の回転が鋭く、キックの出方にも无駄がない。相も変わらず华丽な动きだ。
「おっと」
総太郎をそれを下がってかわすが、优那はさらに踏み込んで横蹴りにつなげてくる。
流れるような无駄のない动きだが、モーションの大きい横蹴りならば足を戻すのに合わせて飞び込むことができる。総太郎はそれを狙い、体势を低くして思い切って踏み込んだ。
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