突きや蹴りを次々と缲り出してくる。まだ未発达とはいえ、すらりとした锻えられた体から缲り出される技は、なかなかに鋭い。
(うん、よくなってきているな。上达が早い)
総太郎は精神的に余裕を持ってさばくことができている。
智华は豊かな才能こそ感じさせられるが、まだまだ技は未熟だ。冷静さを保てれば受け切ることはたやすい。
しかし、手合わせを続けてゆくにつれ、动きの中に惊くほど鋭い突きが混じってくる。そうした突きは総太郎でも受け切ることは困难で、いくつかは体に当たってしまう。
「くっ」
そうした技は无理にすべて防ごうとせず、急所に当たるものだけは防ぎ、それ以外はあえて打たせて耐える。そういう判断が必要になってくる程度には智华は强くなってきていた。
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(手合わせの最中に上达していっているようだ。このあたり、若さを感じるな……)
自分も智华の顷はこれほどに伸びがよかったのだろうか。そんなことを考えていると、智华がフェイントから鋭い追い突きを缲り出してきて、総太郎の道着をかすめる。
必杀の一撃だったのだろう、かわされて悔しそうにする智华に、総太郎は返し技を入れると、智华は小さく下がる。
「うーん、惜しいなあ」
「やるな、今のはいい突きだったぞ」
「うんっ、お父さんに当てられるように、もっと磨かなきゃ」
そして、その后も休みを挟みながら智华との组手を続けてゆく。総太郎も智华の稽古のために攻撃を加减をしているとはいえ、まったく気は抜けないほどに彼女の攻めは苛烈だった。
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娘の末恐ろしいセンスを喜ばしく思いながら组手は続き、やがて二人とも限界が近くなってくる。
「ふう、そろそろ终わりにするか。次でラストにするぞ」
「それじゃ、最后の一本は本気でね」
「ああ」
それまでも真剣ではあったが、最后の一本だけは试合としての心构えでやることになる。総太郎と智华の组手は、最近はいつもこのような调子だった。もちろん総太郎は本気で壊しにかかるような技を智华には打たないが、心构えだけは本気にして彼女に相対せねばならない。
「やあっ!」
「ふっ!」
智华の攻めをしのぎ、こちらからも突きを缲り出す。先ほどまで加减していた総太郎だが、本気に近い突きや蹴りを见せても、智华はしっかり受け流し、さばいてゆく。
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