娘にせがまれて稽古をつける、というのも格闘家として嬉しいことだ。冴华との结婚は総太郎にとって望ましいものではなかったが、智华に稽古をつける时间は充実していて、今はこれでよかったのだと思えるのである。
二人で一绪に道场へ。休みの日で冴华もいないので、谁にも邪魔されることのない环境だ。
「んじゃ、準备しよっと」
「おいおい」
いきなり智华が道场のど真ん中で服を脱ぎ始めたので、総太郎は苦笑して注意した。
「着替えは更衣室で済ませればいいじゃないか」
「べつにいいじゃない、お父さんに见られてもなんとも思わないし」
そうは言っても、智华も小さいとはいえ女なのだ。少しずつ女らしさも见えるようになってきた今は、日常生活でもたまにびくりとしてしまう瞬间もある。
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そして、目の前で着替えなどされて肌を露出されると、どうしても智华が女であることを强く意识させられてしまうのだ。そうなると、総太郎の心臓は鼓动を速めてしまう。女性への恐怖心が呼び起こされて――
(いやいや、落ち着け。娘相手になにを考えてるんだ)
日に日に若い顷の冴华に似てくるせいか、惑わされそうになってしまう。しかし智华は冴华ではない。恐怖も性欲も感じることなく対応できるはずなのだ。
そして、智华は着替え终わった。だが、彼女は道着を着てはいなかった。
「なんか道着が洗濯中だからこれでやるね」
「お……おいおい」
「この格好じゃお父さんから见ると投げ技とかはかけにくいかもだけど、お父さんのほうが强いんだからハンデってことでいいでしょ」
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そう言って小さく舌を出す智华。偶然なのか意図的なのか、タンクトップにスパッツという、ぴったりとして露出の多い格好だ。
かわりの道着を用意したほうがいいのではないかと思ったが、女性用の道着を调达しようとすれば女子更衣室に入らねばならず、今の総太郎にそれはできなかった。あとで冴华にバレれば何をされるか分かったものではない。
「わ、わかった。あまりよくないが仕方ない、それじゃ始めるぞ」
「うん。よろしくお愿いします、お父さん」
そして、総太郎も智华も真剣な表情になる。
「それじゃ、いくよっ!」
智华がかかってくる。
「はいっ、せいっ!」
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