サイズが合わないのか、入れ歯をふがふが言わせながらの村长の训话は涙混じりだった事もあって半分どころか、1割も聴き取れなかったが。
村の古老たちは、日本酒を煽り、顔を赤くし、僕の子供の顷の思い出话に花を咲かせる。
彼らにはほんの最近の出来事でも、僕にとっては物心つくかつかないか顷の事で、记忆にはほとんどない。
感涙に咽びながら话を振られても、微妙な相槌を打つぐらいしかできなかった。
微妙な居心地の悪さを感じていると、
「楽しんでますか、海斗さん」
「っ、あ、はい」
突然声を挂けられて、思わず背筋を伸ばしてしまう。
不明了な老人たちの话声の中にあって、その明了な声音だけが异彩を放っていた。
「どうぞ」
傍らに座り、徳利を差し出す女性。
「ど、どうも」
盃で受けながら、頬が热くなるのを感じる。
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それは、饮み惯れない酒のせいばかりではない。
声をかけてきた女性が、あまりに美人だったからだ。
僕より少し年上だろう。
少し目尻の下がった穏やかな眼差し、すべすべと柔らかそうな頬、柔和な笑みを湛える唇。
こんな岛にはまるで似つかわしくない、さながら天女の如き女性だ。
(文字通り、扫き溜めに鹤だな………)
思わず见蕩れてしまう。
「私の顔に、何かついてます?」
「あっ、い、いえ、すいません……」
くす、と笑みを零しながら小首を倾げる仕草も、とても可爱らしい。
彼女の名前は、夏川萌さん。
ヴェイン?リゾート开発に勤めるバリバリのキャリアウーマンである。
そんな彼女がこの岛にいるのは、社会贡献活动も兼ねた事业の一环として、この过疎の岛を何とか活性化させる为なんだとか。
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岛にとっては、まさに救いの女神と言った所だ。
(まぁ、効果が出てるとは言い难いけど………)
この场にいる老人たちも、あと10年もすれば半分ぐらいになっているのではなかろうか。
この村が消えるのは、まさに时间の问题だ。
(CSRだかなんだか知らないけど、こんな辺鄙な场所に飞ばされた萌さんも可爱そうだなぁ………)
とさえ、思う。
「そう言えば、村长さんに闻きましたよ。海斗さん、学生ながら社长さんでもいらっしゃるそうですね。凄いです!」
僕がそんな事を考えているとは想像だにしていないのであろう萌さんは、にこにこと僕が空けた盃に酌をしてくれる。
これほどの美女に目を辉かせながら手放しで褒められて、悪い気はしない。
「ま、まぁ、まだ渐く轨道に乗り始めたばかりって感じですけどね………」
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