日文65(3)


今はほとんど化粧をしていなかったが、それでも美人であることがすぐに分かるほどだ。

僕は思ってもみなかった美女の登场にすっかりのぼせ上ってしまい、腕を真っすぐに伸ばして菓子折を渡す。
「アッアッ、突然すみません!その、ご挨拶に……」
「あらあら、ご丁宁にありがとう。ふふっ、今时珍しいくらい、礼仪正しい子ね。……失礼だけどお名前は?」
「あっ、中瀬川 翔、と言います!この春高校から大学に进学する事になって……」
「翔くんね。私は凉叶。大神 凉叶(おおがみ すずは)よ。今度、お礼しなくちゃね。お隣同士、これからよろしくね?」

ニッコリと微笑むお姉さんに、僕は顔を真っ赤にしてペコペコと何度もお辞仪をする。
ドアが闭まると、僕はほっと息をつく。
自分の部屋は角部屋なので、隣人はこのお姉さんだけだ。 nwxs8.cc
隣に変な奴が住んでいたら嫌だな、とは思っていたが、こんな绮丽な人がいるなんて……考えもしなかった。



その翌日の日曜日。
昼の3时を过ぎたころに突如、部屋のインターフォンが鸣る。

「……はい」
「今晩は、大神です。今大丈夫かしら?」
宅配便か何かだと思って油断していた僕に、一気に紧张が走る。

「あっ!はい!なんでしょう!」
「実はこないだのお礼にと思って……今日、カレーを作ったの。一人だと食べきれないくらいあるから、良かったら食べに来ない?」
「えっ…!?」
ちょうどこれから晩饭の买い物を、と思っていたところだったから、有难い提案ではあった。
ただ、お裾分けというのはよく闻くが、相手の部屋に食べに行くというのはあまり闻いたことがない。
それも女性の部屋に行くというのは…… 本文来自nwxs5.cc

「远虑しないで。じゃあ、夜の7时ごろになったら部屋に来て。待ってるわね」
あっと思う间も无くお姉さんが部屋に戻っていく。
どうしよう。
しばし逡巡した后、せっかく用意してくれたのを断るのも逆に失礼かと思い、ひとまず部屋に行ってみる事にした。



「――それじゃあ、翔くんの引越し祝いに、乾杯!」
「あ、ありがとうございます」
その日の夜7时过ぎ、お姉さんの部屋では、ローテーブルを挟んで、手作りのカレーライスをつつきながらのささやかな引っ越し祝いが开催されていた。
お姉さんは缶チューハイ、僕は20歳になっていないので麦茶で乾杯。
お酒と麦茶を酌み交わしながら、大神さんは上机嫌で色々な话をしてくれた。都内の会社でOLをやっており、土日はお休みであること。この部屋に一人暮らしであることなどだ。
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